ボーダーコリー

1世紀以上に渡って作業能力のみを重要視しながら交配を繰り返してきたボーダー・コリーは、その成果もあって牧畜犬の中で
最も優れた犬種のひとつといわれています。

19世紀のイギリスでは、牧羊・牧畜のやり方はさまざまで、それに伴っていろいろな犬種が活躍していました。
その中から、元来家畜の周りを回って群れを追い立て、羊飼いの方へ誘導するといった能力に優れた犬たちが現れました。
このような犬たちには騒々しいタイプが多く、時には家畜を軽く咬んだり吠えたりしながら誘導するのを常としていました。
そのうちに、羊飼いたちの中で、どの犬がもっとも牧畜犬として優れているかという競い合いが始まり、1873年、最初の
牧羊犬競技会が開かれることになりました。

この時の競技会に出場して目を見張る活躍を見せた「ヘンプ」という名の犬が、後のボーダー・コリーへとつながっていくことになります。
ヘンプは吠えたり家畜を咬んだりせずに、目で睨みをきかせて怯えさせることで家畜を誘導させていました。
この競技会での活躍によって、ヘンプは後に「ボーダー・コリーの父」といわれるようになります。

1906年になって、初めてボーダー・コリーの基準が設定されましたが、外見についての設定基準が多い他犬種とは違い、
ボーダー・コリーはその作業能力だけが重視されていました。
この傾向は後の品種形成に大きく関わることになります。
当時は単に「牧畜犬」と呼ばれていたこの犬に、「ボーダー・コリー」という名が正式に付けられたのは1915年になってからでした。
ボーダー・コリーという名は、この犬種がイングランドとスコットランドの境界(ボーダー)地方に生息していたことに由来しています。

その後、ボーダー・コリーはアメリカに持ち込まれ、優れた運動能力と高い服従能力でたちまち羊飼いたちから絶賛されるようになります。
実際、「オビディエンス・トライアル(服従競技)」の中でも、優秀犬種としてその地位に君臨していたほどでした。

AKCがボーダー・コリーを「ショー・ドッグ」として正式に承認しようとした際、愛好家の中から激しい抗議が沸き起こりました。
というのも、それまでボーダー・コリーは、外見よりも作業能力が重視されていた犬種のなかで特に優れた評価を得ていた犬種だったからです。
しかし、ようやく1995年にAKCによって承認され、ショーにも頻繁に出されるようになりました

今ではボーダー・コリーはフリスビー・Agility・FLYBALLなどのドックスポーツの花形犬種となっています。


Temperament (性質)

ボーダー・コリーは大変頭がよく、エネルギーに満ち溢れた犬種です。
信頼関係を深めるためにも、知的好奇心を満たすような運動をさせてあげましょう。

興味を持った他の犬や動物を、気のすむまでじっと見ていたり追いかけたりするのも特徴です。
また、牧畜犬としての能力が高い分「守る」という本能が大変強いのも特徴です。
自分のボールやおもちゃを守ったりするのもその一環です。
他の人や犬に迷惑がられることもあります。
「ボーダーだから」と甘やかさずに、きちっとルールを作って飼い主がしっかりとコントロールしなければなりません。


遺伝的疾患 CL(セロイド リポフスチン症)について

ボーダーコリーのセロイド リポフスチン症(CL)は、犬の身体の神経細胞を冒す稀な病気です。
それはStorage Disease(沈着症)としても知られています。
これは遺伝性の病気です。伝染性ではないが、致命的で治療することができません。

このCLのキャリア犬は、その犬自身はいかなる場合も発症しません。
外見上は繁殖しないペットと同様に飼育され通常の健康な犬と変わりはありません
DNA研究の結果、このCLは人間のバッテン病として知られている類似の病気の遺伝子を確認しています。

CLは海外でも他の犬種(サルーキー、イングリシュセター、コッカースパニエル、ダックスフント)
やデボン牛、サウスハンプシャー羊、シャム猫でも発見されています。
またCLを発症したチワワ、ラフコリーとミニチュアシュナウザーが、オーストラリアで発見されています

☆CL(沈着症)の症状と診断
CLの発症した犬は、およそ15ヶ月くらいまでは正常に見えます。
しかし、萌芽期から脳の細胞に老廃物「セロイド リポフチン」を蓄積させる新陳代謝の欠陥が現れます。

脳細胞には老廃物をためる余地はほとんどなく、老廃物の蓄積が健康な脳細胞を圧迫または
破壊しはじめると症状が現れます。
その結果、2歳までには下記のいくつか、またはすべての兆候が認められます。

この病気は、一旦初期の兆候が現れると、大抵の場合急速に進行します。
そして苦痛に苦しむ犬は、3歳半を過ぎて飼うことはできません。
不幸にも発症した犬の治療法はありません。

現在のとここのろ病気を受け継いでいる犬、あるいは欠陥遺伝子保有犬を特定する有効な検査方法はありません。
疑わしい場合は生後7ヶ月から脳生体組織検査法により確認することができます。
また検死解剖により正確な診断をくだすことができるでしょう。
DNAテストがキャリア犬と発症犬を発見するのに理想的な解決策といえます

詳しい情報は、オーストラリアのニュサウスウエルズボーダーコリークラブのWEBを参照ください。

また注意したい病気にはCL以外にも股関節形成不全や水晶体脱臼、コリー眼異常、離断性骨軟骨炎 などあります。


流行ものではない
最近TVのいろんなCMで華麗にDISKをキャッチしたり、ジャンプバーを飛び越えたりするのを見かけます。
彼らの運動能力の高さや知的能力の高さは他の犬種の追随を許さないほどでしょう。
彼らの状況を把握・判断する能力も優れていますが、反面とても神経質な面も持ち合わせています。
よって誰でも飼えるという犬種ではないことです。

運動量が多い犬種だからといってどこかで走らせればよいという犬種ではありません。
飼い主となにか作業することに生きがいを見つける犬種ですから、犬と一緒に遊ぶのがすきな人には飼えると思います。
そしてなにより知能がとても高い犬種ですから、ルールをきちっと作って完全にコントロールすることができる人には、
人生最高のパートナーとなる犬種に違いありません。





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