アメリカのドックフード
このページはアメリカ製品を否定・非難するものでは決してありません。
ただ..フードのひとつの情報として残しておきたいので作成しました。
かわいい愛犬のためによりよいフードをチョイスするときに参考になれば嬉しいです♪
米国のペットフード産業は、人間用の食品産業の延長だということはあまり知られていないようです。
屠殺場から出た廃棄物、人間用には適さないとされた不適格品の穀類などの廃棄物がビジネスとして成り立つ産業です。
廃棄物とは腸、乳腺、食道、羽、くちばしや更には、ガンなどの病気に罹った動物の部位です。
ペットフード部門を子会社にすることで、人間用の食品を作ったあと、そこから出た廃棄物はペットフードに使う。
逆に、子会社ののペットフード部門は、ペットフードに使う原材料を常に調達できる。というビジネスです。
アメリカの大手ペットフード・メーカーの親会社一例
Nature's Recipeは Heinz社、
Hill's Science Diet はColgate-Palmolive社
Alpo, Friskies, Ralston Purina, Dog Chow, ProPlan, Purina OneはNestle社
Eukanuba 、 IamsはProcter & Gamble社
アメリカペットフード業界は非常に秘密主義という話もあります。
以前、APIという非営利団体がペットフードの研究を行いました。その研究の中で、40社以上のペットフードメーカーに
原材料の出所、どのような処理・加工をしたのか、品質管理の基準、フードの製造工場などの情報提供を要求したようですが
どこのメーカーも正確な情報を提出しなかったそうです。
*** Animal Protection Institute(通称API) − 動物を虐待から護り、動物保護を目的として1968年に設立
市販のペットフード種類はたくさんありますが、全ての商品が粗悪で、危険なものというわけではありません。
しかし、良質な原材料を使用した商品を安い価格で販売すればコスト割れになってしまうでしょう。
ボランティアでフードを販売しているメーカーはないはずです。
販売価格でペットフードの品質が必ず決まるわけではありませんが、一つの目安にはなると思います。
簡単にですが、一般的なドライフードについて記載しておきます。
ペットフードの製造工程
まず原材料が混ぜられます。そのあと、それを押出し成形機にかけ、蒸気または熱湯を加え、高圧高温処理し成形します。
それを冷却後、食いつきを良くするため、油脂や嗜好促進剤などをスプレーします。
加熱、調理、成形、加熱乾燥といった過酷な処理によって、原材料の中にあった栄養素の多くが破壊されてしまうので
ビタミン、ミネラルが添加されています。
そして、大事な酵素も破壊されているのです。しかしこれは添加されません。
結果、ペット自信の膵臓がより多く分泌しなくてはならないという事になり、膵臓に負担がかかります。
原材料
穀類
ラベルの原材料表示には必ず出ています。ペットフードに使われる穀類の量が増えました。
かさを増やせるという事で、シリアルや穀類が使われるようになりました。
栄養価というのは、それを、どのくらい消化するかで決まるものですが、犬や猫は、白米などの炭水化物は消化できますが、
小麦、オート麦、豆類はあまり消化出来ませんし、いも、コーンも、その消化率は米よりはるかに悪いです。
しかし、使われる材料の上位三つのうちふたつは、ほとんど穀類です。
安価なエネルギー源としててコーンがベースのフードが作られるのでしょう。
1995年にNature’s Recipe社のドッグフードによって、犬が吐いた、食欲不振になった、という苦情が多発し、
リコール問題に発展しました。原因はドッグフードに使われていた小麦が、発がん性物質を出すカビに侵されていたのです。
作物がきちんと栽培、乾燥、貯蔵されていないとカビが生え、そのカビからマイコトキシンなどが出ます。
同じ理由で1999年にDoane Pet Care社の製品もリコールされています。
マイコトキシンに最も汚染されやすいのは、穀物では小麦、コーン、綿実ミール、ピーナッツ・ミール、魚ミールです。
大豆もまた蛋白源、エネルギー源としてペットフードに使われることもあります。大豆は摂取後、犬によっては体内でガスを発成させます。
2005年12月に高級ペットフードとして日本でも人気のあるダイヤモンドペットフード社のペットフードに
カビに含まれる発がん物質アフラトキシンが発見され、ダイヤモンド社はリコールを始めました。
アフラトキシン入りのフードを食べた犬や猫の初期症状は食欲をなくし、ひどくなるとおう吐、黄だんの症状が出る
とコーネル大の発表がWEBサイトでありました。
同大によれば、肝機能不全の症状が出た犬の3分の2は死に至るという。また命を取り留めても、
肝臓の障害やがんに苦しむ可能性があるということです。
飼い主にとっては許しがたいことです。、私がお勧めしている「こころのチキンスープ」も同社です。
現在(2006.02)いろんなサイトでダイヤモンドペットフード社全てのフードに対する非難がでています。が
まずはきちんとした事実を確認してから飼い主自信が判断しなければいけないと思います。
**こころのチキンスープは今回のリコールには入っておりませんでした。問題のあった工場では「こころのチキンスープ」は
製造されていないとのことです。参照: http://www.diamondpetrecall.net/ (http://www.diamondpet.com/)
2006.02のWhole Dog JournalのWDJ APPROVED DRY DOG FOODS には掲載されていました。
大切なのは、飼い主が風潮などにまどわされずに、自己責任において確認・判断をしなければいけないと 思います。
肉類
牛、豚、鶏、ラム等を屠殺すると、上肉等は人間用になります。
しかし、人間用の食材になるのは全体の約50%程度と言われています。残りの50%、人間用には適さないとして廃棄されるもの、
骨、血液、腸、肺、靭帯など、酷い場合にはくちばし、糞などもペットフード、動物飼料に使われます。
副産物(By-product)、肉骨粉などです。
チキンミール、家禽ミール、副産物ミール、肉骨粉はペットフードによく使われる原材料ですが、
副産物とは、‘肉自体ではなく、肺、肝臓、腎臓、胃、腸、血液などを含み、粗悪なペットフードでは糞尿や屍肉、
羽などが含まれている場合もあります’
家禽ミールとは、七面鳥、鶏などの肉ではなく、内臓、くちばし、足、羽になります。
ミールとは、屠殺体を溶かして脂肪、贅肉から油(油脂)を採る処理で、脂溶性の成分と、水溶性の成分とに分け、
圧縮機に入れ、水分を絞りだします。出来た固形物は肉骨粉、ミールとなります。
ミールになると、原材料に入っていた酵素やたんぱく質が破壊される事もあります。
肉ミールや副産物ミールは、細菌に感染している事が多いのはよく知られています
屠殺された畜肉だけを使っている訳ではなく、病死や怪我で死んだものの肉を使ってるところもあるからです。
多くの場合、サルモネラ菌や大腸菌といった細菌にです。
これらの細菌は製造、調理の過程で殺菌されるようですが、細菌の菌体内毒素までは取り除くのは難しいようです。
この毒素によって病気になることがありますが、メーカーは自社製品について、菌体内毒素の検査は行ってないのが現状のようです。
また病死した家畜の場合、大量の抗生物質などが投与されています。
さらには安楽死させるための薬剤(ペントバルビタール等)も投与されています。
原材料に含まれる残留農薬やカビの他にも、家畜に使われた成長ホルモン剤、抗生物質などの薬剤は、
ペットフードを作る工程を経ても残留する事が知られています。
1999年、FDA/CVM(Center for Veterinary Medicine)の)獣医学センターがペットフードに、ペントバルビタールが
検出されるか否かの試験を実施したところ、数十社のフードから検出されたとのレポートがあります。
参照 FDA/CVM Report on the risk from pentobarbital in dog
油脂
新しいペットフードの袋を開けると特有の臭がすることがあります。
これはペットフードにかけられている油の臭いです。
ペットフードに使われる油脂としてレストラン廃油が使われるようになりました。
それを業者が回収していろいろな種類の油脂と混ぜて、それ以上劣化しないように、強力な酸化防止剤を入れて
安定させて、それをペットフード会社などに売るのです。
ペットフード会社は、この油脂を直接、フードにスプレーします。
そうしないと、ペットフードは風味がなく、不味く、ペットが食べないからです。
ペットフードを研究している学者によると、動物は、このスプレーした脂の味が大好きだそうです。
そのほか
米国では、米科学アカデミーのNRC(米国学術研究会議)がペットフードの栄養基準を出しています。
1980 年代の後半まではペットフード業界もそれを使っていました。いまでも存在はしているのですが、
ペットフードに“complete”である、 “balanced”である、という記載をするためには給与試験が義務付けられています。
ペットフード業界は、その栄養基準の給与試験ではあまりにも制限があり、コストもかかるという事で、
AAFCOが別の基準を作りました。
ペットフードがAAFCOの認定を受けるには、方法が2つあります。
(1)AAFCOが出している栄養基準値を満たす (Nutrient Profiles)
(2)給与試験に合格する (Feeding profile)
です。
AAFCOの栄養基準値を満たしていれば、そのペットフードは栄養の面で、足りているとラベルや広告に記載できます
この基準値に合格しているかどうかはフードの標準的な化学分析によって判断されています。
しかしこの化学分析はペットフードの栄養素の消化率、bioavailability(生体利用効率)は対象外です。
よってAAFCOの認定を受けているフードを食べていればペットが十分な栄養を摂れるのかを判断するのは危険です。
AAFCOの現在の栄養基準値に栄養が足りているとしていても、栄養素生体利用効率のはラベルには記載されていません。
給与試験の方が、ペットフードの栄養が十分かどうか評価するうえでよい、と言われていますが、この
給与試験に合格したペットフードでも、長期にわたって体を維持するという面では十分でない事が
実験や研究によって確認されています。
添加物と保存料
ペットフードには、様々な添加物や保存料、防腐剤が入っています。
原材料の段階で入れられているものもあれば、ペットフード・メーカーが製造過程で入れるものもあります。
ドライフードの場合使われている油脂を保存するために防腐剤が入れられています。
合成保存料・防腐剤としては、BHA、 BHT、プロピレングリコール、エトキシキンなどがあります。
ガンを引き起こす可能性のあるBHA、BHTおよびエトキシキンの場合、少量でなら、その使用はみとめられています。
しかしペットフードでの利用については十分な研究がされていないので、使用されたペットフードを長期間摂取し、
体の中で蓄積された場合、害を及ぼす事になるかもしれません。
エトキシキンが犬の病気や皮膚の問題、不妊症の原因であるとしている獣医師、ペットフード研究者がいる一方で、
ペットフードの保存料としてはこれが最も安全であり、安定している防腐剤だ、とする人達もいます。
エトキシキンは、人間の場合、100ppmまではスパイス類、たとえばチリパウダーに使用することが認められています。
最近では。消費者の心配に応え、ビタミンC、ビタミンE、ローズマリーなどの‘天然’の防腐剤を使用するようになったところもあります。
しかし、油脂以外の原材料は個々に別の保存料が使われている場合があるので、
ペットフードの中には、何種類もの防腐剤が入っていると言うこともあり得るのです。
Whole Dog Journal(WDJ)
Whole Dog Journal誌が毎年出しているTop 10 Dry Dog Foods(WDJ APPROVED DRY DOG FOODS)です。
この雑誌は犬について色々なテーマ、健康、訓練、食餌、ホメオパシー、などをとりあげており、
内容が濃い、とても読み応えのあるものだと思います。最近はPCでダウンロードできます。
このWDJl誌が毎年、市販のドッグフードのラベルを調べ、それに基づいて、
推奨するトップテンとお勧めできないドッグフードのリストを公表しています。
注意すべきは、WDJ誌は給与試験などは行っていないということです。
あくまで、ラベルを元に、ドッグフードに入っているべき材料が入っているか、
入っているべきでないものが入っているかを見て、Top 10を決めています。
WDJ誌は一切広告をとっていないので。言うべきことを、言わなくてはならないことを、はっきりと述べることができるのですが、
逆に広告をとっていない為、唯一の収入源が購読料です。その為、WDJ誌の記事の転載は禁じられています。
読みたい方は、是非購読してください。。
日本でのペットフード広告でWDJ4年連続TOP10 とか優良フードに6年連続とかみかけますが、先にも述べたように
給与試験をしているわけではないので、その栄養素が必ず摂取できるというわけではありません。
APIのペットフードを与える際に注意する点
先に述べましたAnimal Protection Instituteが市販のペットフードを与える際の注意事項として
- 摂取している成分の過不足がないよう、3〜4ケ月ごとにドライフードのブランドまたはフレーバーはかえる。
- ドライフードを切り替える場合、新しいフード1/4に対し今までのを3/4の割合にして、徐々にその量を増やしていく。
- 新しいフードやサプリメントに変えた時は、ペットの皮膚の状態、毛並み、食欲、かゆみ、体重、便の状態をよく観察し、
良くないようなら、別のフードを試してみる。
- ドライフードより穀物が少なく動物性蛋白が一般的に多い缶のフードを若干与える。
- 肉および蒸したりみじん切りにした野菜(肉食動物は生野菜をよく消化できない)といったほかの食材をペットフードに
入れて補う。ただその割合が食餌の15〜20%を超える場合、ビタミン、ミネラルなどのバランスについて書いてあるものを読んでからにする。
- 市販のペットフードを与える場合、有用なサプリメントで特に重要なのが乳酸菌、消化酵素、ビタミンE、ビタミンCである。
- 仔犬、子猫用のフードの中には、パッケージに、‘水やミルクでふやかすように’と書いてあるものがあるが、
ドライフードの場合、細菌に侵されている事があるので、放置しておくと菌が増殖する